【勉強会報告】職場や家庭でのコミュニケーションについて考える ~メンタルヘルスケアに必要な考え方~(2024年7月26日)
7月26日にDE&I研究会で第9回目となるランチ勉強会を実施しました。今回は「職場や家庭でのコミュニケーションについて考える」をテーマとして、働く方々が抱える職場や家庭でのコミュニケーションに関する問題点や課題解決のための考え方について学びました。
【勉強会概要】
- タイトル:職場や家庭でのコミュニケーションについて考える ~メンタルヘルスケアに必要な考え方~
- ファシリテーター: 公認心理師・睡眠指導者/LIB Laboratory代表 今井さいこ氏
- 実施日:2024年7月26日(金) 12:00-13:00
- 研修概要:
- コミュニケーション課題とは
- 職場でのコミュニケーション
- 家庭でのコミュニケーション
【ファシリテータープロフィール】
今井 さいこさん
LIB Laboratory 代表/公認心理師 / 認定心理士
慶應義塾大学で心理学を専攻。ご卒業後はベンチャー企業に務める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積み、女性向けのカウンセリングを開始。2013年からの5年間、妊活支援に特化したメンタルケアサービスを提供。
現在は、睡眠指導者やナチュラルライフセラピスト、アロマテラピーアドバイザーの知識も活かした心理カウンセリングにより、心身共に健康に導くカウンセリング、パフォーマンスを上げるための睡眠改善指導を実施。また企業研修として、メンタルヘルス研修、コミュニケーション研修、ビジネスマナー研修、睡眠マネジメント研修、妊活研修などにも従事。
【勉強会内容】
1. コミュニケーション課題とは
早速ですが、皆さんはコミュニケーションでの困りごとはありますか?
あると思った方は具体的にどのようなことを思い浮かべましたか?ぜひ身近な人と共有したり、紙に書き出したりして、コミュニケーションについての課題を言語化してみましょう。
そもそもコミュニケーションとは、何を指すのでしょうか。
コミュニケーションとは一言でいえば、「プロセス」のことです。自分の持っている情報や感情・意見・考えなどを他者と共有し、相互に理解し合うためのプロセスを「コミュニケーション」といいます。
つまり「コミュニケーション課題がある」ということは、「相互理解のプロセスに課題がある」ということになります。そして、そのプロセス(過程・方法)によって問題が起きているのか、それとも手段(コミュニケーションスキル)によって起きているのか、問題の発生原因を紐解いていくことがコミュニケーション課題を考える上で大切になります。
2. 職場でのコミュニケーション
職場で起こりうるコミュニケーション課題としては、主に以下のようなものがあげられます。
昨今、特に多いコミュニケーション課題の要因のひとつに、上司側がハラスメントに敏感になりすぎてしまい、部下とのコミュニケーションに消極的になってしまうというケースがあります。
職場でのコミュニケーションを考える上で大切なのは、自分の感情として「伝えたい」か「伝えたくないか」に加えて、仕事に支障が「出ている」か「出ていない」かの2つの視点で考えることです。
仕事に支障が「出ている」場合は、自分の感情に関わらず、伝えるべきですよね。職場というのはあくまでも仕事を介した関係性なので、仕事で不具合が起きている場合は、それを調整するためにコミュニケーションをとることは欠かせません。特に上司側から部下に伝える・指示を出すときには、仕事に支障が「出ている」か「出ていない」かという客観的な視点をもつように心がけましょう。
仕事に支障は「出ていない」けれども、「伝えたい」という場合には、少し注意が必要です。具体的には「伝えたい」理由は何なのかを明確にする必要があります。例えば、伝えたい理由が「今後仕事に支障が出るリスクがあるから」という理由であれば、仕事の要素があるので、伝える必要があると判断できます。一方で、「○○さんとは仲が良いから、言いやすいし伝えておこう」といった場合には、その関係性が思い込みである可能性や、昇進などによって以前とは関係性が変わってしまっている場合もあるので、二人の間柄をしっかりと見極める必要があります。まずは伝えたい理由が仕事の要素なのか、プライベートの要素なのかを切り分けて考えるようにしましょう。
ではプライベートな要素にはどう対応していけば良いのでしょうか。例えば、プライベートな問題で悩んでいる部下を目の当たりにしたとき、あなたならどうしますか?
まず、仕事とプライベートの両立支援をする上で、4段階のメンタルヘルスケアがあることを知っておきましょう。従業員が自ら行うセルフケア、管理者が部下に対して行うラインケア(仕事の現場におけるケア)、事業場内資源(産業保健スタッフなど)によるケア、事業場外資源(社外のリソース)によるケアの「4つのケア」が存在します。
仕事上の悩みや、プライベートな悩みが原因で仕事に支障が出ているというケースであれば、上司や同僚・部下などの職場の仲間が関わりを持って調整・ケアしていくことが求められます。
一方、その悩みがプライベートなもので、職場内でのケアが難しいケースであれば、事業場内資源を活用することができます。産業保健スタッフの相談窓口の紹介や社内制度・福利厚生の案内、アクセスの仕方など、情報提供してあげることも立派なメンタルヘルスのサポートに繋がるため、自分自身で解決できないケースでもそういったコミュニケーションを心がけてみましょう。
3. 家庭でのコミュニケーション
次に家庭でのコミュニケーションについて、世間でよく聞くコミュニケーション課題を見ていきましょう。
職場と比べ、家庭内では物理的にも精神的にも距離が近いため、相手に対して無意識のうちに「こうしてほしい」や、「こうであってほしい」といった役割期待をもってしてしまうことが多いのが家庭でのコミュニケーション課題の特徴です。職場であればきっと声に出して伝えているであろうことも、家庭内、特に夫婦間では言語化しないまま過ごしてしまい、結果コミュニケーション不足で衝突してしまうということがあります。
家庭においても、「職場でのコミュニケーション」で紹介したような客観的な視点で考える方法、つまり家庭に支障が出ているか、出ていないかをひとつの軸として考えるやり方は効果的といえます。
それに加えて、家庭でのコミュニケーションでは「コミュニケーションパターンを探る」ということが非常に大切になります。家庭、特に夫婦間では「いつものパターン」で衝突が起きてしまうことが多々あります。「いつものパターン」で衝突していることを知らないまま、これを繰り返してしまうと、やがて衝突を避けてコミュニケーションが不足してしまうという負の連鎖に繋がってしまいます。
まずは「いつものパターン」を見つけ、そのプロセスに着目することで衝突を緩和させるということが必要になります。
心の距離が近い家庭でのコミュニケーションだからこそ、意識的にコミュニケーションをとったり、コミュニケーションスキルを取り入れたり、日頃のコミュニケーションパターンを振り返り工夫していくことが大切です。
チャットでの相談や議論も盛り上がり、とても充実した1時間となりました。
一方で家族の課題を家族だけで解決する難しさも肌感を持って感じることのできた1時間でもありました・・・笑
課題があるとつい、「どう解決するか/自分がどう行動するか(How)」に目が行きがちですが、自分にできることできないことを切り分け、正しく課題を捉えること、周囲に使えるリソースとして使えるものが何かを正しく知り、備えておくことが大切だと学ぶことができました。
【DE&I研究会とは】
2023年4月に立ち上げたダイバーシティのすすめにて運営するコミュニティ
勉強会やコミュニティ形成を通じて、以下2つを実現できる場として設立
- 本当に意味のあるD&Iが何かを共に考え、行動に繋げる原動力とする
- 自分の周囲を変えられる力を養い、会社に左右されない自分自身の望むキャリアや働き方を見つける
メンバーは随時募集しております!ご興味ある方はぜひ一度ご連絡ください!