【勉強会報告】DE&Iを進めるうえでメンバーに求められることとは(2025年1月29日)
2025年1月29日にDE&I研究会で第13回目となるランチ勉強会を実施しました。今回は「DE&I推進に向けてメンバーが求められることは何か」をテーマに、組織内のDE&I推進に向けてメンバーに求められるスキルとして「意思発信力」と「鈍感力」の2つにフォーカスをあてて考えました。
【勉強会概要】
- タイトル:DE&Iを進めるうえでメンバーに求められることとは
- ファシリテーター:清水美ゆき
- 実施日:2025年1月29日 12:00-13:00
- 勉強会概要
- 意思発信力とは
- 鈍感力とは
【ファシリテータープロフィール】

清水美ゆきさん
D&Iコンサルタント
※詳細プロフィールはこちらをご覧ください
【勉強会内容】
1. 意思発信力とは
日本では世界的にみても空気を読む文化(ハイコンテクスト文化)が定着しており、互いに相手の意図を察し合う「以心伝心」のコミュニケーションが多いといわれています。
従来の組織においても、性別や年齢層、家族構成など前提となる条件が似ているために、言語化しなくてもなんとなく通じ合うことができる文化がありました。
しかし組織が多様化する昨今ではハイコンテクスト文化が他者理解を妨げる要因となるため、直接的・明示的な分かりやすい言語表現を必要とするローコンテクスト文化を取り入れていく必要があります。
たとえば上司側が伝わったと思っていても部下側が理解できていない、察することができていないケースは多く、指示や要求はしっかり言語化して伝え、相手の意思も言語として聞き取るコミュニケーションを行いましょうと企業研修などでマネジメント層に伝えています。もちろんコミュニケーションは双方で行うものなので、上司側だけでなく組織のメンバーもこれを理解しておく必要があります。
また日本人のコミュニケーションの傾向として意見の対立を避け、相手の顔色を伺いながら発言をする、もしくは発言を控えるといった文化も色濃く残っています。特に自分よりも立場の上の人に対して、否定的な意見を伝えるのを躊躇したり、萎縮してしまったりすることがあります。

こういった職場の文化を変えていくために「意思発信力」が必要です。「意思発信力」とは、自分の意思や考えを分かりやすく相手に正しく伝える能力で、チームワークを円滑に進めるための「社会人基礎力」のひとつです。
つまりマネジメント層だけでなく新入社員から組織に所属する全員が身に付けなければいけないスキルのひとつです。
また自分の意見や考えをきちんと伝えるだけでなく、相手の理解度に注意を払いながら対話をすすめることも重要です。
勉強会では、参加者の皆さんとディスカッションを行い、
- 自分が意思発信力を発揮した場面
- 自分が意思発信力をうまく発揮できなかった場面
- 周囲に意思発信力をもっと発揮してもらいたかったエピソード
について意見交換を行いました。
参加者の皆さんからは「以前の職場では、阿吽の呼吸で”察する”コミュニケーションが多かった」、「リモートワークの普及でチャットでのやりとりがメインになり、日頃のちょっとした対話から自分の意思を伝える機会が減ってしまった」、「良かれと思ってやったことが実は上司の意図していないことで裏目に出てしまった」など、意思発信力がうまく発揮できなかったエピソードが多く出てきました。
では「意思発信力」を身につけるにはどうすればよいのでしょうか。
スキル面では、相手に伝わりやすい言語表現にするために、語彙力や論理的思考力を向上させたり、相手の理解度を確かめるために観察力、傾聴力を高めていくことが「意思発信力」に繋がります。
一方でスキルはあっても、いざ自分の意見を主張する場面になると、遠慮してしまったり、慎重さを求めて言動に移せなかったりするケースもあります。
その場合は、自分が発言する場面を頭でイメージして練習するのもおすすめです。どんなにスキルを兼ね備えていても、アウトプットの機会がなければ意味がありません。自分が遠慮してしまったり、うまく意見や考えを伝えることができなかったシチュエーションを振り返り、リハーサルしてみましょう。
2. 鈍感力とは
「鈍感力」は、些細なことに動じない能力、ストレスを軽減する心の強さ、過剰反応を抑える力などと言い換えることができます。
ダイバーシティの取り組みにおいてのみならず、SNSやあらゆるネットの情報にさらされている情報過多な現代社会ではこの「鈍感力」を身につけることが非常に重要です。
職場や家庭での些細な問題を気にしすぎない力や、SNSを開けば嫌でも目に入る他人の評価に過剰に左右されないことが日々のストレス軽減に繋がっていきます。
ただし、組織に所属している以上は状況把握能力や共感力といった感受性を持ち合わせることも必要です。一見、相反するように見えるこの2つの能力をバランスよく持つことを心がけましょう。

ここで「鈍感力」というキーワードをより深堀りするために
- 自分が鈍感力を発揮した場面、出来ごと
- 自分が鈍感力をもっと発揮すればよかったのではないかと思う場面、出来ごと
- 周囲で鈍感力を発揮されてイライラしてしまったエピソードなど
について参加者の皆さんとディスカッションを行いました。
「鈍感力」を発揮するために意識していることとして、「早朝や夕方遅い時間の急ぎではない仕事の依頼にはすぐに反応しない」や、「すべての仕事を100点にしようとしない(要所をおさえて緩急をつける)」といった意見がありました。
いきなり「気にしない」という心がけは難しいですが、状況に応じて気づかないフリをしたり、一旦無視する、聞き流すといった習慣は「鈍感力」を身につける上で重要だと感じました。
ランチタイムの1時間という短い時間の中で、学びの多い時間となりました。これを機に職場や家庭でのコミュニケーションや習慣を見直し、「意思発信力」と「鈍感力」をぜひ意識して発揮してみてください!

【DE&I研究会】
2023年4月に立ち上げたダイバーシティのすすめにて運営するコミュニティで、勉強会やコミュニティ形成を通じて、以下2つを実現できる場として設立。
- 本当に意味のあるD&Iが何かを共に考え、行動に繋げる原動力とする
- 自分の周囲を変えられる力を養い、会社に左右されない自分自身の望むキャリアや働き方を見つける
DE&I研究会では毎月1回ペースでランチタイムに勉強会を実施しています。
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