どんなに成果を出しても自信が持てない方へ 〜インポスター症候群〜
どんなに成功しても「運が良かっただけ…」「自分なんて…」と自分自身を過小評価したり、過剰に卑下したりするいる方、周囲にいらっしゃいませんか?
日本人は「謙虚さ」は人間性を評価する上で重要視されがちです。一方で過剰な謙遜は自己肯定感が低下したり、自信を持てなかったりと負の感情が強くなってしまいます。こういった精神的な状態のことを「インポスター症候群」と言われています。
インポスター症候群に陥ると自己評価が低いことで、自分自身の仕事に自信が持てず、仕事へのモチベーションが低下したり、結果的に仕事のパフォーマンスの低下にも繋がってしまいます。
最近、日本人に増えていると言われるインポスター症候群。本日は「インポスター症候群」の説明に加えて、どう克服すれば良いか、インポスター症候群の人に周囲はどのような声がけをすれば良いかについてまとめます!
インポスター症候群とは?
インポスター症候群とは自分の能力や実績を客観的に正しく認められず、自己評価を低く見積もってしまうことを指します。ネガティブ思考であったり、過度に謙遜したりしてしまう傾向にある心理的状態のことであり、病気ではありません。
インポスターとは本来「詐欺師」「偽物」という意味であり、「自分がまるで能力や実力があるかのように見せて周囲を欺いている」という感覚に自分自身で陥ってしまっている状態のことを意味します。
昨今では女優のエマ・ワトソンやFacebookの元COOであるシェリル・サンドバーグなども自分自身がインポスター症候群の傾向があることを公表しています。
「謙虚さ」という言葉以上に複雑な感情が含まれていると言われ、他人から評価されることや注目を集めることを嫌う傾向にあります。

インポスター症候群の方のありがちな思考
インポスター症候群の方にありがちな思考の一部を抜粋してみました。こちらに該当しているなと思う方はインポスター症候群に陥っているかもしれません!
- 少しの間違いや能力不足で悩んでしまう:失敗を過度に恐れ、自覚する能力値以上のチャレンジを避ける傾向にあり。そのため少しミスをしてしまっただけでも、精神的にダメージを負ってしまう
- 周囲のアドバイスに対して納得よりもショックを受けてしまうことがある:失敗を恐れる傾向にあるため、周囲からのアドバイスを悲観的で自己否定的に捉えてしまい、精神的にダメージを負ってしまう
- 成功を運や他の人のおかげだと思う:チャレンジしたことがたとえ成功したとしても、自分自身の力ではなく周囲や運が良かった解釈してしまう傾向にある
- 褒められると嬉しさよりもプレッシャーを感じる:周囲から評価をされたとしても次回以降も同様以上の結果を残さなければならないと考えてしまい、嬉しさよりもプレッシャーを感じ、むしろ苦しいと思う
- 良くも悪くも評価を受けたくない:周囲からの目線や評価に過剰に反応してしまう傾向にあるため、良くも悪くも注目を浴びたくないと考える傾向にある
- 失敗や能力不足を他人に知られたくない:「自分は能力や実力があるかのように振る舞っているのだ」という自己認知が強いため、本当の自分の能力を知られることや自己開示することに敏感に反応してしまう

陥ってしまう背景
インポスター症候群に陥ってしまう原因は本人自身の性格的な部分(内部要因)もありますが、育ってきた環境や周囲の人間関係による心理的要因(外部要因)が強く影響していると言われています。
【陥ってしまう要因例】
1. 内部要因
- 完璧主義
- 責任感が強い
- 勤勉/努力家
- 他人本位(他者と比較して自己評価する)
2. 外部要因
- 新たに与えられた仕事での強いプレッシャーや失敗した経験(過度な期待/心理的プレッシャー)
- 失敗した際に周囲からのからかわれたり、叱責された経験
- 自分の成功により他者から妬まれた経験
- いじめや仲間はずれにされた経験(孤独に敏感)
- そもそもチャレンジングな経験をしたことがない
冒頭にあげた著名人を含め、インポスター症候群は女性の方が陥りやすいと言われています。女性がインポスター症候群に陥りやすい理由は、幼少期に求められていたことと昨今職場で求められることのギャップが大きいことが原因と考えられています。
「謙虚さ」や「奥ゆかしさ」が女性らしさであるという刷り込みを幼少期から受けている場合、「個性よりも調和を」「家庭的で控えめに」と言われる機会が男性よりも多い傾向にあります。

そういった刷り込みによって社会に出た後も潜在的に「他者よりも目立たない方がいい」と感じてしまう傾向が強く、またチャレンジングな経験をする機会が男性よりも少なかったために、失敗に対する耐性が弱く、インポスター症候群に陥っている人が多いと考えられています。
自分自身で克服する方法
ではどのように克服をしていけばいいのでしょうか。自分自身がインポスター症候群だなと感じる方はまずは以下を意識してみると良いかもしれません。
- 自分の思考回路/思考傾向を自覚する:まずは自分がインポスター症候群の傾向があることを自覚し、自分を客観的に捉えることが克服の第一歩です
- 完璧主義をやめる:仕事は1人で完結することはできませんし、他人を自分の全て思い通りに動かすことはできません。自分にも他人にも過度に期待せずに全部できなくて当たり前と思って行動してみましょう
- 自分を褒める:1日1回今日の良かったところを考える/(特に夜は)悪かったことは考えない!
- 過去の経験を整理する:インポスター症候群の思考に陥ってる方は何かしら過去に負の経験をされている方が多いと言われています。精神状態が安定している時に一度、その過去の経験について振り返ってみてください。自己肯定感を低くしてしまって経験を再度考えてみると意外と大きな失敗でなかったというケースもあります!
→1つでも習慣化してみると自分の思考方法を変えるきっかけになるかもしれません!

周囲はどのように接すれば良い?
最後に周囲(同僚や部下)にインポスター症候群に陥っている方がいる時の接し方についてまとめます。
周囲にインポスター症候群の方がいなくても以下のアプローチを行うことで周囲のモチベーションや自己肯定感の上昇を促すことができるのでぜひ実践してみてください。
- 客観的な事実に基づいて、能力を肯定する:周囲から積極的に前向きな声がけをする。但し、曖昧で主観的な発言ではなく、客観的な事実に基づいて肯定をすることで本人も正しく自己認識するきっかけを提供できます
- 失敗しても大丈夫であることを頻繁に伝える:積極的に失敗しても問題ないことを声がけしてあげることで不安の解消に繋がります
- 任せる仕事を選択させる:チャレンジングな仕事を依頼する場合は仕事内容と共に依頼する仕事を通じてどんな役割を期待しているかを伝える。また仕事を依頼する際は選択肢を設け、自身で担当業務を選択してもらうことで周囲からのプレッシャーを軽減できる
- 定期的に話をする場を設ける:仕事の中での悩みなどを話せる場(1on1)などを定期的に設ける(組織全体の飲み会といった集団の場ではなく個別に心理的安全性が担保される空間を作る)
- 周囲に頼れる環境を作る:1人で抱え込み、不安やプレッシャーを感じずに業務を遂行できるように、気軽に相談できるような職場環境や組織体制を整える

いかがでしたでしょうか。本日はインポスター症候群についてまとめてみました。
真面目で謙虚なイメージが強い日本人はインポスター症候群の人が多いと言われています。自己肯定感を高め、前向きに仕事に取り組める環境を整備できれば、職場の生産性やモチベーションアップが期待できます。
是非1つでも職場で実践していただけると嬉しいです。
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