今さら聞けない!?D&Iって何?
ダイバーシティ&インクルージョン、D&Iという言葉を特に企業内で耳にする機会が昨今では急激に増えてきています。一方でD&Iについて言葉の意味はなんとなくわかっているけど、具体的にはどんなことを意味しているのかわからないという方もいらっしゃると思います。本日は「今さら聞けない!?D&Iって何?」と題して、D&Iについて改めてご説明します。
D&I(DE&I)とは?
D&IとはDiversity and Inclusionの頭文字をとった略称です。昨今ではDE&Iと言われるケースも増えており、Diversity,Equity and Inclusionと言われることも増えています。
日本語に訳してみると
- Diversity:多様性
- Equity:公平性
- Inclusion:包含性/受容性
と訳されます。ではそれぞれの具体的な意味について考えてみましょう。
Diversity(多様性)とは
多様性とは「集団の中に存在する属性パターンの多さ」を表しています。例えば、目に見えやすい属性だと「性別」「国籍」「年齢」「雇用形態」などが挙げられます。
人は複数の属性を持っており、保有している属性は個々人によって多岐に亘ります。
例えば、管理職の50代男性であれば、
- 性別:男性
- 年齢:50代
- 雇用形態:正社員
- 職種:管理職

となります。
一方で契約社員の50代女性であれば、以下となります。
- 性別:女性
- 年齢:50代
- 雇用形態:契約社員
- 職種:一般職

このお二方の場合は「年齢」という属性は共通していますが、それ以外の目に見える属性は異なります。
組織の中にはさまざまな属性存在し、所属している人は基本的に複数の属性を保有しています。上に書いたような目に見える属性だけでなく、一見するだけではわからない属性もたくさんあります。
例えば…
- 性自認(自分自身が認識している性別)
- 性的指向(自分自身が性的な魅力を感じる性別/誰に対しても性的魅力を感じないなど)
- 健康状態(何らかの障害や既往歴がある)
- 家族構成(独身/子持ち/要介護者がいるかなど)
ここに挙げた属性も一例に過ぎません。また女性の社会進出が進んだことや価値観の多様化、グローバル化によって企業内に存在する属性はより多様になっています。
このように組織の中にはさまざまな属性が存在しており、異なる属性をお互いに認め合い受け入れることを「Diversity=多様性」と一般的に表現されます。
Equity(公平性)とは?
まずはEquity(公平性)とEquality(平等性)の違いについて説明します。

「Equality=平等」とは下の図のように全ての人に同じリソースやツールを提供することを言います。しかし下の図のように全員が同じ台の上に乗っても背の小さい人は野球を見ることができません。

一方で公平性とは図のように全員で同じ試合を観戦できるように、それぞれの個性に合わせた支援を行うというイメージです。
今の社会や企業内には構造的に特定の属性に所属する人が不利益を被るケースなどが存在しているため、平等性のみを意識していても一向に格差は是正されないという考え方が広まっています。
したがい昨今では「Equality=平等性」ではなく「Equity=公平性」を担保した上で、機会の平等を実現しようという動きが増えてきています。
Inclusion(包含性/受容性)とは?
最後に「Inclusion=包含性/受容性」とは、Diversity(多様性)に近い考え方ですが、Diversity(多様性)から一歩踏み込んで「属性を問わず、機会の平等が与えられること」を意味しています。
例えば、企業において属性に捉われずに適切に評価がなされ、昇格や報酬が支払われることなどを指します。特にInclusion(包含性/受容性)には「組織内の多様性を活用する」という意味合いが含まれます。
ただ単にさまざまな属性の人が組織内にいるものの、意思決定層は一定の属性の人(例えば:40代以上の白人男性など)に限られていたりすると、それ以外の属性の人たちがオープンに意見を言える環境だとは言えません。そのような環境では、組織内に多様性があってもその効果を得ることはできないため、多様性を活用するというInclusion(包含性/受容性)という考え方が重要になってきます。
まとめ
簡単ではありましたが、D&I(DE&I)について、それぞれの言葉の意味について説明をしてみましたがいかがでしたでしょうか。
当団体ではDE&Iの全ての意味を含んだ上でダイバーシティ経営という言葉を使っています。決してDiversity(多様性)だけが重要であるという意味ではないのでご注意ください!
それぞれ企業や組織を運営する上でD&I/DE&Iという考え方が重要そうであるということは皆さんご理解いただいていると思います。一方でDE&Iを実現するのは会社の制度や組織風土の変革など超えなければならないハードルが山積みで、やらなきゃいけないけど、具体的にどんなメリットがあるのかと感じている方、多いと思います。
そこで次回はDE&Iが実現すると企業や働いている方々に具体的にどのようなメリットがあるのかという点についてご説明します。
お楽しみに!